治療用コンタクトレンズ

ハイブリッドレンズ

円錐角膜と非球面ハードコンタクトレンズ

円錐角膜眼の視力矯正において、ソフトコンタクトレンズ(SCL)による矯正は、装用感は良いが角膜形状が不正であるため良好な視力は得られない。したがって、ハードコンタクトレンズ(HCL)が第一選択となる。

しかし、HCLは異物感と、レンズ下への異物の侵入による角膜への傷、特に進行例では角膜突出部とレンズ裏面の接触による角膜障害、痛み、そして、外れやすいといった不具合が生じる。そこで登場したのが、上記の問題点を一挙に解決するハイブリッドレンズである。

ハイブリッドレンズの特徴

ハイブリッドレンズは、中心部はHCL素材、周辺部はSCL素材といった異なるレンズ素材が重合し接着することにより構成されている(図1:EyeBridTM Silicone)。したがって、本レンズは、眼球に優しくフィットするSCLの装用快適性と、矯正効果の高いHCLという両者のメリットを兼ね備えており,ハイブリッドレンズとよばれる所以である。

処方に際しての注意点

最高視力を出し、角膜に障害を生じさせず、良好な装用感を得るためには、取り扱いのある眼科施設で,処方に熟達した眼科医のもと、繊細な調整と処方後の定期検診がポイントとなる。

本レンズは、ヨーロッパでは承認レンズであるが日本では未承認であるため、レンズの作成と定期検査は保険外診療で、レンズの価格設定や診療費も各医療機関でまちまちである。レンズの寿命は、およそ1〜1.5年だが、保証期間を有効に利用することにより買い替えの時期を調整するといい。

図1. EyeBridTM Siliconeのレンズデザイン

ハイブリッドレンズ

a酸素透過性の高いハードコンタクトレンズ素材とシリコーンハイドルゲルソフトコンタクトレンズ素材を重合した原材料(ボタン)からレースカット(切削)製法にて作製される。
bレンズ周辺部:シリコーンハイドロゲル・ソフトレンズ・スカート
レンズ中心部:ハード素材のセントラルゾーン、直径 8.50mm
レンズ総直径 15.5mm

【執筆者】吉野 健一(吉野眼科クリニック 院長)