ご挨拶
ご存知のように,コンタクトレンズ(CL)は元来,近視や遠視や乱視で見えづらい状態を眼鏡なしで見えるようにする屈折矯正のための医療用具です.しかし,最近は屈折矯正のみならず,近視の進行を遅らせるオルソケラトロジーレンズや,通常のCLでは視力を出せない極端に角膜が歪んでいる円錐角膜をはじめとした強度不正乱視の矯正を可能にするハイブリッドレンズ,また,スチーブンス・ジョンソン症候群をはじめとした重症ドライアイの治療と屈折矯正を目的とした強膜レンズ,薬剤を浸透したレンズ等,屈折矯正以外の治療用CLも登場しています.
しかしながら,日本の眼科分野では,これらの治療用CLの情報が極めて少なく,欧米に遅れをとっているのが現状です.勢い,治療可能な患者さんに対しても眼科医の知識不足による治療機会の損失や,患者さんへの治療手段の情報提示不足が懸念されます.
また,治療目的以外にも,生体反応をモニタリングしたり,視覚ディスプレイを内蔵したCL等,スマートレンズも続々と開発されてきています.
そこで眼科医有志が集まり,上記を総称したスペシャルティレンズに特化した情報を,眼科医をはじめ一般の方々にも啓発する目的で本研究会(SOS-J: The Society of Orthokeratology and Specialty lens Japan)を立ち上げました.
新たな治療手段と未来の情報デバイスとして,未来型CLの可能性を追求する研究会にできたらと考えています.
SOS-J世話人代表
吉野眼科クリニック 院長 吉野健一